紫微斗数

『般若経』の陀羅尼◎第六節『大般若』理趣分の陀羅尼ー第三神咒◎

第三神咒は般若不忘聞持陀羅尼という。その功徳は「かくの如くの神咒は大威力をそなう。よく受けたもてば業障消除す。聞くところの正法を総持して忘れず、とく無上正等菩提を証せん」。
この第三神咒は『大般若経』の経本を右左に転翻するときにとなえる。
『般若経』を忘れぬように、よく聞持であるようにと祈るわけである。
真言宗には弘法大師の修された虚空蔵求聞持法といって、これを修すれば記憶力がよくなるという修法があるが、禅宗ではこの般若不忘聞持陀羅尼をとなえればよい。

この理趣分の陀羅尼を読んで気のつくことは、陀羅尼即仏身、経典即仏身の信仰であって、長篇の経典の読誦にたえぬ民衆には、このような短い讃歌が歓迎された。これが日本では称名、唱題の信仰にまで発展した。『法華経』妙音菩薩品第二十四には、「このとき娑婆世界一切の菩薩衆は禅定と陀羅尼をえたり」とある。
禅定は真言宗では入定、天台宗では止観業、禅宗では坐禅という。陀羅尼は口称禅であって、繰り返し唱えて心身を統一し、仏と一味平等になる行である。読経、称名、唱題はみなこれである。
本来は陀羅尼は記憶であるが、記憶は千鍛万練を要する。「正法眼蔵」陀羅尼の巻では、「陀羅尼を礼拝とし何ごとのおわしますかを知らずとも、かたじけなく、時と処をわず無尽に無条件に、正法の師に、随順し礼拝する」と解してある。
(本文は真言陀羅尼 坂内龍雄著 平河出版社より)

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