紫微斗数

五大明王(五大尊合行)

空海が完成に導いた密教の理論では、最上位にある大日如来は万物の根本であり、5つの智恵(真理)を持ちあわせる。大日如来は民衆を教え導くにあたって、教えを受けるものに応じて3通りの姿(輪身=りんじん)で現れ、人々の煩悩を打ち砕く。上位には仏教の真理(究極の智恵)そのものを体現(網羅)する5人の如来(五智如来=自性輪身=じしょうりんじん)がおり、ある時は慈悲に基づく救済活動をする5人の菩薩(五菩薩=正法輪身=しょうぼうりんじん)に変身。ある時には、厳しい態度で強制的に救済に導こうとする5人の明王(五大明王=教令輪身=きょうりょうりんじん)に変身する。 「教令」とは「あらゆる衆生を教え導け」という仏の至上命令に従い、いくら正しい理屈を言って諭しても理解しようとしない者に対して、有無を言わせずに屈服させて強引に教化しようとすることをいい、五大明王は怒りに満ちた恐ろしい形相してこの任務に当たる。

中央不動明王
「動かない守護者」という意味の名を持つ明王。大日如来の教令(命令)を受け、その化身として教えに従わない者たちの前に忿怒の形相で現れ教化する。火生三昧と呼ばれる炎の世界にあり、民衆を教えに導きながら、人間界の煩悩や欲望、一切の悪を燃え盛る炎で焼き尽くす。童子のような姿をし、左手に民衆を救うための羂索(けんさく)、右手には宝剣を持つ。平安中期までは両目を見開き、上の歯で下唇を噛み締めた形相で鎮護国家の役割を担う像が多いが、平安末期以降は右目を細めて左目を大きく見開き、右下の牙で上唇を噛み、左上の牙で下唇を噛む形相で個々の人々を救う像が主流になる。明王の中心的な存在で、五大明王の中では中央に配置されることが多い。

東方降三世明王
「3つの世界、すなわち過去・現在・未来の三世、貪(トン・むさぼり)瞋(ジン・腹を立てる気持ち)・痴(チ・愚かな気持ち)の三毒、欲界・色界・無色界の三界の敵を下す勝利者」という名前を持つ明王。阿閦(あしゅく)如来、金剛薩埵(こんごうさった)の化身で東方を守る。像は三面三目八臂の姿をして、ヒンドゥー教の最高神・シヴァ神を右足で、その妃(ウマ)を左足で踏みつけている。これは密教の経典「金剛頂経」に登場する話を表現している。シヴァとウマは自らの悪業のために苦しみにさいなまれていたにも関わらず、仏の教えを受け入れようとしない。このために金剛薩埵が最後の手段として降三世明王に変身し、2人を退治した。シヴァ神は如来に生まれ変わった。

南方軍荼利明王
軍荼利には「甘露を入れる壺」という意味と「髑髏を巻く者」という意味があるとされる。南方を守る宝生(ほうしょう)如来、虚空蔵(こくぞう)菩薩の化身。多くは一面三目八臂の姿で、外敵から仏教信者を守る悪鬼退散の役割を担っているとされている。手足に多くの蛇を巻きつけているのが最大の特徴で、もろもろの煩悩(迷い)、執着心の象徴である蛇を征服する姿を表しており、悪鬼から人間を保護し、障害を取り除いてくれる明王といわれている。

西方大威徳明王
西方を守る阿弥陀如来、文殊菩薩の化身とされる。水牛に乗った六面六臂六足の姿をし、忿怒の形相だが、偉大なる徳を備えた明王という意味の名前を持ち、慈悲の心をも兼ね備えている。正面と左右に大きな顔があり、頭上に小さな3つの顔がある。いずれの顔も眉間にもう一つの目を持っている。水牛が田んぼの泥水の中を自在に歩き回るように、汚れた娑婆世界であらゆる障害を乗り越えて進んでいく姿を表している。古くから戦勝祈願の仏として信仰されてきた。

北方金剛夜叉明王
「金剛」はダイヤモンドのような固く優れた性質のことを指し、何者にも劣ることのない強い信念と力をもって、あらゆる悪、煩悩をことごとく破壊し、呑み尽くす力を持つとされる。北方を守る不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)、金剛牙(こんごうが)菩薩の化身とされる。三面六臂で正面の顔には5つの目を持つ。手には五鈷杵と金剛鈴、弓矢、宝剣と宝輪をもち蓮華座に立つ。

(本文すべて五大明王|【公式サイト】国宝 醍醐寺のすべて -密教の ...より)


*参考サイト*
五大明王 - Wikipedia
東寺観光案内・講堂立体曼荼羅/不動明王
高野山霊宝館【収蔵品紹介:仏に関する基礎知識:五大明王】
五大明王像|奈良国立博物館
明 王‐古寺散策 - Page ON

コメント