紫微斗数

◎十二天◎

帝釈天以下の十二尊は、いわゆる十二天であり、胎蔵界曼荼羅の最外院に位置する。これらの尊は、いずれもヒンドゥー教の神々が仏教に取り入れられ、守護者となったものである。十二天のうち、帝釈天(東方)から伊舎那天(東北方)まで古来から護世八方天、つまりそれぞれの方向の神として崇められてきた。後に、天と地を司る梵天と地天が加わり、さらに日天・月天を含めて十二天が形成されたと推測される。

帝釈天(東方)
古代インドの神インドラが仏教化したもので、東方を守護し、天人形で手に金剛杵を持ち、白象に坐す。帝釈天数あるヒンドゥー教系尊格の中でも、梵天と並んで古くから仏教に好意的な神として知られ、仏伝にもしばしば登場している。

火天(東南方)
火天も古代インドの火神アグニが仏教化したもの。東南方角を司る。火天は護摩作法では本尊に次いで中心的働きをするため我々に親しい。図像的には、風天とともに老人の姿で表現される。火を象徴する三角形を持つことが多い。

閻魔天(南方)
閻魔天の祖型であるヤマは、ウェーダ神話では最初に死んだ人間の楽土の王と考えられた。後に冥界の支配者となり、我々に親しい閻魔大王に至る。密教の閻魔天は南方を守り、水牛にまたがって、左手に人頭幢を持っている。

羅刹天(西南方)
羅刹は、もと悪鬼として人々を悩ませていたが、後に仏教の守護者となり、『法華経』などを守護した。インドでは、この尊格は南西の神にあたり、図像的には死人にまたがって、髑髏幢を持っている。

水天(西方)
ヴァルナはインドの天空神、もくしは司法神であったが、後に水神となる。西方を守護するが、司法神の名残りとして羂索を持っている。獣座となる場合は亀になる。日本の水神は、水天と同一視されている。

風天(西北方)
古代インドの風神で、西北隅を守護する。密教の十二天画像として老人の姿となっている。

毘沙門天(北方)
四天王中の北方多聞天の別名。ヒンドゥー教の財宝神クペーラと関係があり、後に単独で信仰されるようになる。四天王の一つとしての武闘神の他に、財宝神の性格も持っており、日本では七福神の一つ数え上げられている。

梵天(上方)
古代インド思想の最高原理であるブラフマン(梵)が神格化されたもの。仏教に入って、帝釈天とともに代表的な護法神となる。成道後の釈尊に説法を請うた梵天勧請の話はよく知られている。ヒンドゥー教では造物主とも呼ばれる『大日経』ではこの語を用いる。方位的には、地天に対して、天界を受け持っている。

地天(下方)
下方の大地を守護する天部で、堅牢地神とも呼ばれる。梵天とともに八方天と併せて十方天を形成している。この真言は、地鎮などの土公供作法に用いられる。

日天(帝釈南)
古代インドの太陽神スーリャを仏教の守護神として取り入れたもの。七頭、もくしは五頭の馬にのる姿が知られている。奈良西大寺の十二天画像はやはり馬座に乗っている。

月天(水天南)
古代インドの酒神ソーマと同体と考えられる。太陽の神・日天に対して、月を司る守護神。

(以上の文章は梵字大鑑 種智院大学密教学会編 670~679より)
 
(写真の中の屛風は1997年に東寺にて購入したもの)

 
*参考文献*
句義入梵文真言鈔 岩田教順編 中山書房仏書林

*参考サイト*

十二天 - Wikipedia
重要文化財|十二天像|奈良国立博物館

コメント